皮膚疾患とは

子どもの皮膚は、骨やほかの臓器と同様に成長途上でもあります。一見すると子どもの肌は、弾力性に富んでいて、みずみずしい肌なのでうらやましいと思うかもしれません。ただ子どもの表皮というのは、大人の半分程度の厚さでしかなく、バリア機能も未成熟のため、肌トラブルが起きやすいということがあります。そのため成人よりも様々な皮膚疾患にかかりやすいのです。

小児によくみられる皮膚疾患は、以下の通りです。

アトピー性皮膚炎

強いかゆみがみられる湿疹が、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返している状態にあるのがアトピー性皮膚炎で、左右対称に症状が現れるのも特徴です。

原因については、完全に特定されたわけではありませんが、アレルギーを起こしやすい体質（アトピー素因）の方や皮膚バリア機能が低下している状態にある方によく見受けられるといわれています。

同疾患は、生後2ヵ月頃から発症します。乳児湿疹との区別がつきにくいこともあって、アトピー性皮膚炎と診断されないこともありますが、他のアレルギーを引き起こす事も考慮して、積極的に治療を行います。

成人になっても症状が続くという患者さまもいれば、大人になってから発症したというケースも見受けられるようになっています。かゆみに耐えきれずに掻き壊せば症状は悪化します。また冬から春にかけての季節も皮膚が悪くなりやすいので注意が必要です。

治療に関してですが、副作用が出ないように、様々な外用薬を使用しながら、慎重に治療を行っていきます。治療が順調に進めれば、最初は頻繁だった受診も１ヶ月ごとの定期受診にする事が可能です。お薬を頑張ってもなかなか良くならないという患者さんについても、信頼できる皮膚科の先生にご紹介する事が可能ですので気兼ねなくご相談ください。

水ぼうそう

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おむつかぶれ

おむつ皮膚炎とも呼ばれるもので、おむつを装用している部分に尿や便、汗などが付着し、それが長時間続くことで、かぶれが起きている状態をいいます。これは便に残っている消化酵素等が皮膚を刺激することで炎症等が起きるといわれています。

主な症状ですが、おむつが当たる部分の肌が赤くなります。さらに症状が悪化すると赤いブツブツがみられる、あるいは皮膚がただれるということもあります。

治療に関しては、おしりを清潔にし、シャワーでお尻を洗う、お尻を保護するためのワセリンを塗る事で、軽い症状なら軽快します。特にうんちをした時に、おむつを早めに変えるのも有効です。皮膚症状に対しては、外用薬を塗布していきます。

とびひ

正式な病名は伝染性膿痂疹といいます。黄色ブドウ球菌が主な原因となります。

発症すると、かゆみを伴う膿疱が顔面や手足等に発生するようになります。患部を引っ掻いた手で他のところを触る事で、体のあちこちに菌が飛び散っていきます。これによって、全身に瞬く間に水疱が現れるようになります。この状態が飛び火によって火事が拡大する様子に似ていることから「とびひ」と一般的に呼ばれるようになりました。

症状の治癒が始まると、次第にかさぶたが形成されます。

治療に関してですが、軟膏を塗布します。またかゆみが強い場合は、飲み薬も使用します。なお、皮膚症状が広範囲に及ぶ、発熱の症状があるという場合は、抗菌薬を内服することもあります。このほか、皮膚症状がみられる部分は清潔に保つことも大切です。

水いぼ

伝染性軟族腫ウイルスに感染することで発症する皮膚疾患で小児によく見受けられます（夏に多い）。

主な特徴ですが、光沢感のある半球状の小さな発疹（直径1～3㎜程度）がみられ、その中央は少し凹んだ状態になっています。かゆみなどの自覚症状はないものの、アトピー性皮膚炎等を併発しているとそのかゆみから掻き壊すということもあります。発症しやすい部位は、手足、腹部、首回りなどです。

これといった治療をしなくても半年～１年が経過すれば、自然と消えるようになります。ただその間に水いぼを潰すなどして、ウイルスが別の部位に飛び散るようになれば全身に広がることもあります。そのため、治療を選択するケースもあります。

治療に関しては皮膚科で処置を行います。治療は痛みが強いため、自然と消えるのを待つ事が多いです。

あせも

正式な疾患名は汗疹です。汗腺（エクリン汗腺の導管）が何らかの原因（ホコリや垢で詰まる 等）で閉塞され、それによって汗が体外へ放出されなくなり、水疱が形成されてしまう状態で、炎症を引き起こすこともあります。乳幼児に発症しやすく、髪の毛の生え際、おでこ、首すじ、腋の下、肘の屈曲部等、汗のたまりやすい部位でよく起きるとされています。

主な症状ですが、肉眼では白い水ぶくれ（水晶様汗疹）や赤いブツブツ（紅色汗疹）がみられるようになります。白い水疱の状態では、自覚症状がみられることはありません。その後、汗腺で炎症が起きるようになると、赤いブツブツとなって、強いかゆみがみられるようになります。かゆみに耐えきれず、爪を立てて掻き壊すとなれば、皮膚症状はたちまち悪化し、人によってはとびひに至ることもあります。

治療に関してですが、まず汗を掻きっぱなしにしないことが大切です。そのためには、高温多湿な環境を避けるようにします。また汗はシャワー等で流し終えたら、速やかに乾燥させるなど常に清潔に保つことも大切です。

皮膚症状の治療ですが、白い水ぶくれの段階では保湿剤で軽快する事が多いです。紅色汗疹（赤いブツブツ）がみられ、痒みがある場合は、外用薬を患部に塗布するなどしていきます。また細菌に感染している場合は、抗菌薬を用いることもあります。