消化器疾患とは

子どもは消化器に関しても、まだまだ成長の途上です。そのため、成人とは違った消化器疾患がみられることもよくあります。もちろん、大人と同様の病気がみられることもあります。ただその場合でも、大人とは症状が異なることもあります。

小児によく見受けられる消化器疾患には以下のようなものがあります。

感染性胃腸炎

汚染されている飲食物を口にする、あるいは感染者の吐しゃ物や便に触れる(手指で触れる、空気感染 等)などして病原体に感染し、胃腸炎症状(嘔吐・下痢 等)が起きている状態を感染性胃腸炎といいます。

原因としては、大きくウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎に分けられますが、大半はウイルスによるものです。これらでよくみられる症状は、嘔吐、下痢、発熱です。なおウイルス性であれば水のように排出される下痢、細菌性であれば強い腹痛や血便などもみられます。ちなみにウイルスでは、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。細菌であれば、サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌などです。

なおロタウイルス感染症につきましては、生後半年~2歳くらいまでの乳幼児が発症しやすく、何の治療をしなかったとしても発症から1週間程度で治癒するようになります。ただ症状がある期間は、激しい嘔吐や下痢(白っぽい水様下痢)に見舞われ、高度な脱水症状が起きるようになります。これによって、循環血液量減少性ショックや急性腎障害を引き起こすこともあります。そのためロタウイルスワクチンは、小児の定期予防接種となっています。

治療はまず経口補液法を行います。ほぼ点滴と同等の効果があるとされ、経口補液法の開発のおかげで、胃腸炎で点滴を打つ事はかなり少なくなりました。治療は整腸剤と吐き気止めなどを症状に応じて使う事があります。

胃食道逆流症

生まれて間もない新生児や乳児は、胃の内容物が食道へと逆流するのを防ぐ働きをする下部食道括約筋と呼ばれる筋肉が十分に機能していない状態にあります。そのため、胃の中の内容物が逆流しやすい傾向にあります。ただ乳児の大半は、合併症がみられることはなく、生後半年頃に自然と治まるようになります。

しかし嘔吐がよく出る、哺乳不良、体重増加不良等の消化器症状をはじめ、慢性的な咳、喘鳴、誤嚥性肺炎、のどや胸の痛みがある場合は紹介の上で診断・治療を行います。

便秘症

便が長期間にわたって排出されない、あるいは出が良くない状態にあるのが便秘です。例えば、便通が毎日ない、便が出なくなって3日以上続くといったことです。また毎日、出ていたとしても排便時に痛みがある、硬い便によって肛門が出血しているといった場合なども含まれ、これらによって何らかの治療が必要となれば便秘症と診断されます。

治療は食生活の見直しから始まります。水分や繊維を意識して摂っても、十分に改善しない場合は薬物治療を行います。小児で使う便秘薬は癖がつく事がないので、安心して使用しましょう。